一部で大流行しているChat GPTですが、巷ではChat GPTがライターの仕事を奪うのではないかと心配されています。
それどころか、Chat GPTのせいでライターになる人が減るのではないかという声すらあるのです。
そこで、こちらの記事ではChat GPTがライター業界に与える影響やメリットを解説します。
Chat GPTって何?
Chat GPTとは、簡単に言えば質問応答型のチャットボットの一種です。
ユーザーが質問を入力すると、AIが瞬時に文章で回答を生成してくれます。
こうしたチャットボットは以前からありましたが、内容が不完全だったり、構成や言葉遣いが不自然だったり、機能として不十分と言われていました。
その点、Chat GPTは従来とは比較にならないほど完成度が高いことから、世間で注目を浴びています。
実際に使ってみるとわかりますが、Chat GPTが生成する文章はまるで人間が書いたかように自然です。
特に英語は、Chat GPTが書いた文章と人間が書いた文章の違いを認識することが難しく、論文制作にも利用されています。
Chat GPTをライター12年目が使った感想
AIがライターの仕事を脅かすであろうことは、随分前からわかっていたことではありました。
ハリウッド映画の脚本制作にAIが使われていたり、民間サービスとして文章作成ツールが登場したりなど、着実にAIの存在感が増していたからです。
ただ、ある程度の心構えができていたとはいえ、それでもChat GPTの性能にはただただ驚かされました。
一番驚いたのは、質問に対する回答のスピードです。
「以下の文章を●●●文字以内に要約して」「以下の文章を中学生でもわかるように書き換えて」「以下の文章の誤字をチェックして」など、人間がやれば数分から数十分かかるような作業をものの数秒でおこなってくれます。
そして、それ以上に驚いたのは、Chat GPTは質問の仕方次第で回答や精度が大きく変わるということです。
もしChat GPTに質問をして、欲しい答えを手に入れられなければ、それはユーザー側に落ち度がある可能性があるでしょう。
Chat GPTがどれだけ優秀なツールだとしても、100%AIの力を引き出すにはユーザー側の質問力が不可欠なのです。
【結論】Chat GPTはライターの仕事を奪う
結論、Chat GPTはライターの仕事を奪うと私は思っています。
ただし、一言にライターの仕事と言っても厳密には色々あるので、奪われるものとそうでないものとがあります。
ライターの仕事を大きく分けると、「調べる」「書く」「推敲する」に分けられます。
パフォーマンスの良し悪しはありますが、Chat GPTはこれらの3つのどの仕事もおこなうことが可能です。
Chat GPTの使い方に慣れている人であれば、Chat GPTを使って数分で平均点以上の質の記事を書けるでしょう。
そのため、単順に質の低い記事しか書けないようなライターさんは、ほぼ確実に仕事を奪われます。
同様に、型がある程度決まっているような文章も、Chat GPTによって作成の難易度はぐっと下がるでしょう。
具体的にはランディングページ、求人情報、料理のレシピなどです。
一方でChat GPTに奪えない仕事もあります。1つは個人的な経験を基にした文章です。
AIは人間ではないので、オリジナルの経験を基にした記事を書けません。
今後検索結果の1位がすべてAIの回答になったとしても、1位の記事の中で、具体例として個人的な経験が書かれた記事を紹介する可能性は高いでしょう。
Chat GPTに奪えないもう1つの仕事は、まだテキストコンテンツになっていない情報の抽出やリサーチです。
例えば、全く新しいアップルの商品をPRするための文章を書くためには、商品の詳細をリサーチする必要があります。
しかし、販売されるまで新商品の情報が一切明かされていない場合、参考にするテキストコンテンツが存在しないのです。
CEOや技術者にヒアリングをして、実際に商品を使い、商品の良さを体感することでしか、商品をPRする文章は書けません。
このように、Chat GPTはライターの仕事の多くを奪う可能性がありますが、一方で奪えない仕事も存在します。
Chat GPTをライターが使うメリット
「仕事を奪う」ということは、見方を変えれば、代わりに仕事をやってくれるということでもあります。
つまり、Chat GPTを使いこなすことができれば、ライターはこれまで以上に作業効率が上がり、
より短い時間で質の高い記事を書けるようになるでしょう。
そこで、こちらではChat GPTをライターが使うメリットを3つ紹介します。
メリット1:初稿を書いてもらえる
ライターの仕事でカロリーを消費する作業の1つは、おそらく初稿の作成でしょう。
リサーチした内容を基に構成を作り、そこから文章を作成する作業は一番手間がかかります。
その点、Chat GPTを使えば、次のように指示を出すだけで初稿を作成してくれます。
このように、Chat GPTに質問やテーマ、書き方のコツを伝えることで、素早く初稿を生成してもらえます。
初稿の作成で楽をした分、ライターは推敲作業に専念できるでしょう。
メリット2:作業時間を短縮できる
文章を書く際には、細かな作業や調査が必要ですが、Chat GPTはその手間を短縮するのに役立ちます。
例えば、データや統計情報の引用、一般的な情報の検索など、時間のかかる作業をChat GPTに任せることで、ライターはより効率的に執筆に集中できます。
メリット3:質問に瞬時に回答してくれる
ライターが調査や確認を必要とする情報に対して、Chat GPTに質問をすることで、即座に回答を得られます。
ただし、調べものに関しては、Chat GPTはまだ嘘の情報が多いので、グーグル検索の方が実用的という認識です。
実際に仕事の時に要約作業をChat GPTにお願いしたら、リライト作業を含んでも、作業時間が5分の1くらいになりました。
Chat GPTをライターが使う際の注意点
ライターにとってメリットが大きいChat GPTですが、実際に使用する時は十分に注意が必要です。
使い方を間違えると、業務の効率が落ちたり、ライターとしての信用を失ったりする可能性があります。
そこで、こちらではChat GPTをライターが使う際の注意点を3つ紹介します。
回答が不自然なことがある
Chat GPTが質問を理解する能力は完璧ではありません。
質問する側の質問力が低く、文脈を理解する負担をChat GPTに強いれば、誤った回答が返ってくることもあります。
そのため、Chat GPTに質問する際は、文章の前後関係や背景を明確にし、理解しやすい質問を投げかけるようにしましょう。
情報が嘘の可能性がある
有名な話ですが、Chat GPTは嘘の情報を含んだ回答をすることがあります。
なぜなら、Chat GPTはインターネット上の情報を基に回答を生成しているので、そもそも嘘の情報を基にすることもあるからです。
そのため、専門的な情報について質問する際は、必ず情報源がどこなのかを確認するように徹底しましょう。
表現がわかりにくいことがある
Chat GPTはまるで人間と話しているかのように文章を生成できます。
しかし、日本語が複雑な言語ということもあって、時々表現がわかりにくいことがあります。
その際は、追加で指示を出すことで、わかりやすく文章を書き換えてもらうことが可能です。
今後ライターはChat GPTの習得が必要?
Chat GPTとライターはよく対立する存在として語られがちですが、それはナンセンスだと思っています。
むしろ、今後ライターはChat GPTのようなAIを上手く使いこなす必要があるからです。
Chat GPTのように作業時間を短縮できるツールを使える人と使えない人とでは、書ける記事の数も質も、どんどん差が開いていくでしょう。
記事作成業務だけではありません。キャッチコピーの案を質問すれば、瞬時に何十個もの案を出してくれますし、誤字脱字のチェックを指示すれば、瞬時に間違いを指摘してくれます。
動画台本の作成、ランディングページの作成、広告文の作成、資料作成、要約、文字起こし、ライティングに関するあらゆる業務の効率化にChat GPTを活用できるわけです。
業務を発注するクライアント側からすれば、同じ金額で依頼をするなら、数も質もスピードも上回る方のライターさんを使いたいと思うのは当然でしょう。
Chat GPTを活かせるライター以外の仕事や作業
Chat GPTを活かせるライター以外の仕事や作業は、例えば以下のようなものです。
- プログラミング
- エクセルの数式作成
- 翻訳
- アイデアの提案
- 詩や物語の創作
他にも、
- ChatGPTのデメリットとされている誤回答を防ぎ、広範囲かつ自然な対話ができる「ObotSERVE」
- Q&Aの自動生成ができる「Tebot」
- PDFファイルをアップロードするだけで、その内容に関する質問に答える「ChatPDF」
Chat GPTとチャットボットを活用したサービスがいま続々と増えています。
今後はライターに限らず、さまざまな業種・職種でChat GPTを使うことが当たり前の世の中になっていくでしょう。
ライターはChat GPTが苦手なことを磨こう
今ライター業をしている人やこれからライターになる人が長く続けるためには、とにかくChat GPTにできないこと、苦手なことを磨くことが肝要です。
Chat GPTにできないことは大きく3つあり、その1つが「専門性を磨く」ことです。
特定の分野に関して詳しい知識を持ち、Chat GPTがまだ獲得していない情報を文章にできれば、需要がある上でに希少価値も高いので、必然的に単価も高くなるでしょう。
次が「ファンを得る」ことです。Chat GPTがどれだけライティングの面で優秀だったとしても、Chat GPTにファンがついて人気者になることはありません。
つまり、書く内容以上にその人が書くことに価値がある、そういう存在になれれば、Chat GPTと差別化できます。
最後が「ディレクション能力を磨く」ことです。
Chat GPTがどれだけ優秀なツールと言っても、結局はいちツールでしかありません。
誰かがChat GPTに的確な指示を出さなければ、ニーズに合った記事の作成や修正をしてくれることはないのです。
そういった指示を出したり、文章の良し悪しを判断する人間の存在は今後も不可欠と言えます。
だからこそ、ライターさんやChat GPTに的確に指示を出したり、アドバイスをできるディレクターは、今後も長く活躍できる可能性があるでしょう。
Chat GPTに関してよくある質問
最後にChat GPTに関してよくある質問に3つ回答します。
これから積極的にChat GPTを活用したいライターの方は参考にしてください。
プロンプトとは何ですか?
Chat GPTについて調べていると、ほぼ確実に出会うのがこの「プロンプト」という言葉です。
プロンプトとは、簡単に言えばAIに指示を与えるために入力する「文章」や」「キーワード」のことを言います。
AIはプロンプトに基づいて応答を生成するので、プロンプトの内容次第で回答が変わることがあります。
質問の仕方が雑だと回答も雑で、質問の仕方が優秀だと優秀な回答が返ってくるということです。
つまり、Chat GPTのポテンシャルを最大限に引き出すには、ユーザー側のプロンプト作成能力が問われます。
プロンプトエンジニアとは何ですか?
プロンプトの形式や内容を設計する人を、プロンプトエンジニアと言います。
「エンジニア」と聞くと、数字に強い理系の仕事という印象を受けるかもしれませんが、プロンプトエンジニアはむしろ文系の能力が問われる仕事と言えるでしょう。
AIが要求されたタスクを正確かつ効率的に遂行するためには、優れた指示を出せるプロンプトエンジニアの存在が重要です。
今後、AIの普及に伴ってますます必要な仕事となっていく可能性があります。
プロンプトエンジニアになるためにはどうすればいいですか?
プロンプトエンジニアになるための環境は、日本でもすでに複数存在します。例えば以下のようなものです。
- テックアカデミー
全国で3万名以上の指導実績を持つオンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」は、プロンプトエンジニアを養成する講座を開催しています。
- スタアカ
AIデータサイエンス特化スクールの「スタアカ」には、プロンプトエンジニアリングを学ぶコースがあります。
- キカガク
AIプログラミングスクール大手の「キカガク」は、オープンAIを業務改善に活かす方法を学べる講座を開催しています。
まとめ
Chat GPTによってライターの仕事の大部分が奪われる可能性は非常に高いです。
しかし、だからと言ってライターが生き残る道が完全になくなるわけではありません。
本編でお伝えしたように、Chat GPTにできないことや苦手なことは確実にあるので、これからライターになることも十分可能です。
Chat GPTのようなAIと対立するのではなく、共存することで、より強力なビジネスパーソンになれるよう精進したいものですね。