昨今、AIライターが何かと話題になっていますが、それがWebライターの役割をどう変えるのか、どう活用すればいいのか、気になっている方は少なくないでしょう。
そこでこちらの記事では、AIライターの基本的な活用方法と、それがWebライターのあり方をどう変えるのかを解説します。
AIライターは職業名ではなくツール名
こちらではまずAIライターとは何か、Webライターとの違いは何かを解説します。
AIライターとはアプリケーション
AIライターとは職業の名称ではありません。AIを活用して文章作成をおこなうツールやアプリケーションを「AIライター」と呼んでいます。
膨大なテキストデータを分析し、言語のパターンを学習することで、人間のような文章を生成できる点が特徴です。
「プロンプト」と呼ばれる特定のヒントや指示の文章を入力すると、それに応じて高精度な回答をしてくれます。
ただし、生成されたテキストの内容は、必ずしも正確であるとは限りません。そのため、AIライターを使用する際は、生成されたテキストの内容が正しいかどうかをチェックするのが通例となっています。
Webライターとの違い
一方で、Webライターは職業の名称で、主にWeb上の記事コンテンツを作成する人を指します。
AIライターはライティングツールですので、Webライターは今後のキャリア形成においてAIライターを使いこなすことが重要です。
AIライターを活用することで、Webライターがこれまで自力でおこなっていた多くの業務の負担を軽減し、作業時間を短縮できます。
むしろ、AIライターを使いこなせるかどうかが、今後Webライターのスキル格差に繋がっていくと筆者は感じています。
AIライターの活用方法4選
こちらでは、WebライターがAIライターを活用する方法を4つ紹介します。
記事の叩き台の作成
AIライターは、記事の叩き台を作成するのに便利です。最低限のテーマやアイデア、作成上の留意点などを入力して作成指示を出すと、AIライターが一瞬で叩き台を作成してくれます。たとえば以下のようなものです。
叩き台さえできてしまえば、Webライターの負担はだいぶ軽くなります。AIライターが書いた初稿に納得がいかなければ、改善点を伝えて別の叩き台を作成してもらえばOKです。
AIライターの作り直しを指示するほどでもない場合は、自分の手で微修正をすればいいだけの話です。
見出しの作成
AIライターは見出しを考えるのも得意です。特定のキーワードやテーマに基づいて、効果的な見出しを何個でも書いてくれます。
たとえば、「WebライターがAIを活用する方法というタイトルの記事を書きたいので、効果的な見出しを考えて」と指示を出すと、以下のような見出しを生成してくれます。
リライト
AIライターは、既存の文章をリライトするのにも使えます。
- 中学生でもわかるように専門用語を極力使わないようにリライトして
- 同じ語尾を連続して使用しないようにリライトして
- 「●●」というキーワードを必ず▲個は使うようにリライトして
- 「〜〜」という表現を使いたくないので、別の表現にリライトして
- 具体例がわかりにくいので、ターゲットが理解しやすい具体例にリライトして
このように条件を指定してあげれば、一瞬で文章をリライトしてくれます。
校正
AIは、タイプミスや文法の誤り、一貫性のない表記などを瞬時に特定し、修正できます。
AIライターはWebライターの仕事を奪うのか
巷ではAIライターの登場によって、Webライターは仕事を奪われるのではないかと心配されています。
そこで、こちらでは改めてAIの強みや限界、AIの登場によるWebライターの役割の変化について解説します。
AIの強みと限界
AIライターの強みは大きく3つあります。膨大な情報収集力、データ分析能力、そしてターゲット層に合わせた人間らしい文章を生成するライティング力です。
しかし、2024年2月時点でAIはまだ「間違えずに正確に書く」「経験をもとにした文章を書く」ができません。
特に、経験をもとにして主観的かつ感情的な文章を作成することは、今はまだAIライターには難しいと言えるでしょう。
ただし、これらの弱点が克服されるのも時間の問題だと思います。個別の体験をテキスト化してひたすらインプットさせれば、経験をもとにした文章の作成は可能だからです。
Webライターの役割の変化
「AIライターの登場によってWebライターの仕事が奪われる」という表現は、間違っていないと筆者は思います。
なぜなら、AIライターの登場は、誰もが安価に「そこそこ優秀で超速筆なWebライター」を雇えるようになったことと等しいからです。
これまでWebライターがおこなっていた仕事の大部分をAIライターが担ってくれるので、最終的に人間がやることは「指示出し」と「確認・修正指示」だけになるでしょう。
これまでの役割分担
クライアント企業 → ディレクター → Webライター
文章作成を人に依頼する必要があったので、Webライターに発注していた。
これからの役割分担
クライアント企業 → ディレクター + AIライター
AIライターを使いこなせるディレクターがいれば、Webライターは必要ない。
つまり、ディレクションができてAIライターも使いこなせないと、これまでのWebライターは生き残れない時代に入ったと言えます。
新たなビジネスチャンス
Webライターにとって、AIライターは敵ではなく貴重なツールであり優秀なパートナーです。
AIを活用することでライティング作業の大部分が効率化されるので、より多くの時間をクリエイティブな作業や深い分析に充てることができるでしょう。
- AIライターを駆使して質も量も圧倒的な記事作成プランを企業に提供したり
- AIライターを駆使して効率的に自分の記事メディアを育てたり
- AIライターを導入することで作業時間を短縮し、時間が増えた分クライアントの数を増やしたり
このように、AIライターを上手く活用できれば、Webライターは新たなビジネスチャンスを掴める可能性があります。
無料で使えるAIライター3選
こちらでは、無料で使えるAIライターを3つ紹介します。
まだライティングにAIライターを活用していないWebライターの方は参考にしてみてください。
Chat GPT
ChatGPTは、OpenAIによって開発された対話型のAIツールです。
ただし、ChatGPTは主に対話を目的としているため、特定の文章を作成する際はユーザーからの細かな指示出しが必要です。
無料版の「GPT-3.5」では、一つの対話セッションで約2048トークンまで利用可能です(日本語では、おおよそ1文字につき1トークンと見積もられています)。
なお有料版の「GPT-4」では、最大32,768トークンまで利用できます。
SAKUBUN
【SAKUBUN】は、NOVEL株式会社により提供されているAIライティングツールで、前述のGPT-3およびGPT-4技術を利用しています。
SNS投稿、広告コピー、動画シナリオなど、多様なジャンルに対応したテンプレートを備えているのが特徴的です。
記事作成では、ターゲットの情報を設定することで、ターゲットに合わせて細かくカスタマイズされた記事を作成できます。
日本の企業が運営しているため、英語の翻訳を気にすることなく直感的に使用できるのがメリットです。
無料で始めることができ、月に5000文字までならクレジットカード登録なしで利用できます。
AI Writer
AI Writerとは、SEO対策に特化したAIライティングツールです。
キーワード分析機能や文章加工を助けるAIアシスタント機能、SEO対策に欠かせないSERP分析機能などがついています。
AIアシスタント機能では、タイトル案やアウトライン案のブレインストーミング、リライト、長文化・短文化、要約など、多くの作業を助けてくれます。
また、SERP分析機能では、狙おうとしているキーワードの難易度、ボリューム、キーワードサジェスト、上位記事サイトの傾向など、幅広い分析が可能です。
中でも魅力な機能は、一度に最大8000文字の記事作成が可能であることです。
WebライターがAIライターと上手く付き合う方法
Webライターがこの先も生き残るためには、役割の変化を受け入れて、AIライターと上手く付き合うことが重要です。
そこで、こちらではAIライターと上手く付き合う3つの方法を紹介します。
アップデート内容を随時チェックする
AIライターのテクノロジーは日々進化しています。そのため、最新のアップデート情報を常に把握しておくことが重要です。
AIライターが進化してできることが増えるほど、私たちWebライターの作業効率は上がっていきます。
逆に、AIライターを使いこなせるかどうかで、Webライターの技術的な格差はどんどん広がっていくでしょう。
一次情報を扱えるポジションを手に入れる
AIライターは、主に既存の情報を基にして文章を生成するので、一次情報の取り扱いはまだ困難です。
この点においては、まだWebライターはAIに勝てる部分が残っていると言えるでしょう。
一次情報とは、たとえば現地に行って調査したり、体験したり、インタビューしたりしなければ得られないような情報のことです。
さまざまな商品やサービスのレビュー記事、インタビュー記事をAIが作成するのはまだ難しいので、そういった一次情報を扱うポジションを確立しておくことが重要になります。
その中でも、さらに何かの分野に特化したポジションを確立できれば、専門性の高いWebライターとして重宝される可能性があります。
できることからAIライターに仕事を渡す
AIライターの効果的な活用法の一つは、日常のルーチン作業や簡単な作業などをどんどんAIに任せていくことです。
たとえば、基本的なデータ収集、短いSNSの投稿、記事の叩き台などは、AIライター向きの作業です。
抵抗感がある人もいるかもしれませんが、遅かれ早かれAIライターはWebライターの仕事を奪っていきます。
であれば、少しでも早くAIライターに仕事を渡し、より重要かつクリエイティブな作業に時間を使う方が有益と言えるでしょう。
AIライターをSEOに活用する場合の注意点
最後に、AIライターをSEOに活用する場合の注意点を3つ紹介します。
中級者の方向けの話ですので、仕事でSEO記事を書いている方のみ参考にしてみてください。
キーワードの選定には向いていない
SEO対策においてキーワード選定は非常に重要です。
検索エンジンの結果は常に変動しているので、特定のキーワードが検索結果にどのように影響するかを把握するには、リアルタイムデータの分析が不可欠です。
しかし、AIライターは現在の検索トレンドやリアルタイムの検索結果のデータを直接分析できません。
したがって、AIライターだけにキーワード選定を任せるのは現実的ではないでしょう。
キーワード選定はまだ人間が直接おこなう必要があります。
構成案の作成には向いていない
「AIライターなら構成案くらい簡単では?」と思うかもしれませんが、SEO対策においては正直向いている手段とは言えません。
SEOにおいて効果的な構成案を作成するためには、現在検索エンジンで上位表示されているサイトの内容を分析し、それに基づいてアルゴリズムの傾向や最適な対策を理解する必要があります。
しかし、AIライターはリアルタイムの検索結果や最新のトレンドを直接分析する能力に欠けています。その結果、適切なSEO対策を反映した構成案の作成が難しいのです。
現在のSEO戦略は、キーワード選定だけでなく、ユーザーの検索意図や関連コンテンツの品質など、より複雑な要素を考慮する必要があります。
AIライターがこれらの動的で複雑な要素を把握し、それに基づいた構成案を作成するのはまだ難しいです。
アルゴリズムは頻繁に変更されている
検索エンジンのアルゴリズムは定期的に更新されます。そのため、SEO戦略は常に最新のアルゴリズムの変更に対応していく必要があるのです。
その点、AIライターは最新のSEOトレンドやアルゴリズムの変更を即座に理解し、対応するのがまだ苦手です。
実際、Chat GPT4に質問したところ、以下のような回答が返ってきました。
Chat GPTの回答
「ChatGPTのようなAIモデルは、大量のテキストデータからパターンを学習しますが、Googleのアルゴリズムのような継続的に変化する、秘密保持されたシステムを完全に理解することはできません。したがって、ChatGPTがGoogleの検索アルゴリズムを攻略することは現実的ではなく、またGoogleのガイドラインや倫理的な観点からも適切ではありません。」
このように、単純な文章作成においては圧倒的に便利なAIライターも、SEO対策においてはまだまだ人間の手が不可欠であることがわかります。
AIライターの活用方法についてのまとめ
繰り返しになりますが、AIライターは膨大なデータを基に文章を自動生成するツールです。
文章の叩き台やリライト、見出し作成、校正などの役には立ちますが、経験を基にした文章やSEO対策など、特定の分野においてはまだ力が及びません。
しかし、AIライターは私たちの想像を超えるスピードで進化し続けています。
Webライターが今後も活躍し続けるためには、AIライターを理解し、使いこなすことが最低条件と言えるでしょう。