巷では「フリーライターは食えないからやめとけ」と言われることが多いようです。
これからライターを目指す人にとって、耳を塞ぎたくなるような言葉かもしれませんが、安心してください。
「案外食えないこともないですよ」というお話を、フリーライター10年目の筆者からさせていただきます。
フリーライターは食えないのか?
まずは筆者のフリーライターとしての事実をお伝えします。食えていなかった時期も経験しているので、そこそこ参考になると思います。
独立1年目は確かに食えていなかった
フリーライターとして独立する前に自力で取れていた仕事は、「月7万円」のお仕事でした。独立する前までは、会社の家賃手当をもらいながら家賃8万円のマンションに住んでいたので、初月から大赤字であることは間違いありません。
貯金は雀の涙ほどしかなかったので、クレジットの引き落としが残高不足となり、楽天カードから毎月催促の電話をもらっていました。
なんとかして現金を作るために、上司からのお下がりのバッグを売ったり、ワンピースを全巻売ったり、図書カードを友人に買い取ってもらったり、とにかく毎日必死だったのを覚えています。このように、独立1年目の私は確かに全然食えていませんでした。
「食えない=ライティングスキルがない」ではない
誤解のないように補足すると、フリーライターとして食えないということは、決してライターとしてのスキルがないというわけではありません。
「ライティングでお金を稼ぐスキル」と「仕事を獲得するスキル」は別物なのです。はずかしながら、独立当初の私は「スキルさえあれば食っていけるだろう」と、甘く見積もっていました。
しかし、自分から積極的に動きもしないような人間に、仕事を紹介してくれるような親切な人は基本的に存在しません。そもそも誰にも知られていないわけですから、存在していないのと同じです。
ですので、もし食えないフリーライターの人がいるとすれば、その原因は「仕事を獲得するスキル」が不足していることが大半といえるでしょう。
筆者は約10年食えています
筆者が独立した当時、今のようにフリーランス向けの仕事を紹介してくれるようなサービスは少なかったので、仕事は自力で獲得するしかありませんでした。
知らない人と会ったり会話をするのがいやでライターになったのに、仕事を獲得するにはどうしてもそこを避けて通れなかったのです。
食えていない状況から抜け出すためには、自ら営業をする以外の選択肢が残されていませんでした。
慣れない社交の場に足を運び、自分ができることをアピールし、新しい人間関係を築くことで、2年目にして少しずつ仕事をいただけるようになりました。
それからは、ありがたいことに大きなピンチを迎えることなく、フリーライターとして食べ続けることができています。
食えないフリーライターの特徴
フリーライターとして生計を立てるのは簡単ではありません。もし、食えない状況が続いているのだとしたら、以下の事項に当てはまっている可能性があります。
低単価の案件ばかり受けている
多くのフリーライターが初期に陥る罠の一つが、低単価の案件ばかり受けてしまうことです。これは経験や実績が少ないために、自信を持てず、高単価の案件に挑戦しないことが原因といえます。
しかし、低単価の案件は大量にこなしても収入が低い上に、モチベーションも下がります。自分の価値を正当に評価して、高単価の案件にも積極的に挑戦することが必要です。
魅力的な実績がない
フリーランスにとって、実績は名刺代わりといえます。ですので、魅力的な実績がないと、新しい仕事を獲得するハードルは高くなります。
実績を増やすためには、無料または低料金で仕事を引き受けることも一つの方法です。ただし、あくまで短期間での戦略とし、徐々に高単価案件に移行することを目指すべきでしょう。
筆者の場合、実績作りのために「完全成果報酬型」の契約を結んだことがあります。このタイプの契約であれば、クライアントのリスクはほぼゼロに近いので、契約のハードルは下がります。
結果を出せば、報酬も実績も手に入るので一石二鳥です。実績のない初期段階の戦略の1つとして有効でしょう。
自分の見せ方を知らない
フリーライターとして成功するためには、自分のスキルや実績を効果的にアピールする方法を知ることが重要です。
「あなたは何が得意な人なの?」という質問にパッと答えられる必要があります。なぜなら、一言にフリーライターと言っても、みなさんやっている業務はバラバラだからです。
自分の見せ方を考える際に重要なのは、「自分を過小評価しないこと」です。
自分では「こんなこと誰でもできる。実績とも言えない。」と思っていることでも、他人からすれば「それはすごい実績だよ」と思ってもらえることは意外とあります。
たとえば、一見大したことないような実績も、伝え方次第で以下のように印象が変わります。
before:健康食品関連のメルマガを週1で書いていました。
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after:メルマガを用いた既存顧客のナーチャリング(顧客育成)やWEBマーケティングが得意です。
クライアントが知っていそうな言葉に変換するのがポイントです。
before:転職業界のWEBメディアで記事作成をしていました。
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after:転職業界のWEBメディアで担当した記事が月間●●PVを獲得し、サイト経由の売り上げが前月比で●●%増となりました。
やっていた作業だけでなく、その作業を通じて何に貢献したのか、クライアントにとってのメリットをイメージさせてあげるのがポイントです。
before:●●業界でしかライティングの経験がありません。
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after:●●業界に特化したライティングを●●年おこなってきました。
一見ネガティブな経験を、ポジティブな表現に言い換えることがポイントです。
営業力が乏しい
前述のように、良い文章を書くスキルだけではなく、自分を売り込む営業力もフリーライターには必要です。営業力が乏しいと、クライアントを見つけることが難しくなります。
営業力を高めるためには、リアルなイベントに参加したり、SNSで繋がりを増やしたり、既存のクライアントからの紹介を増やしたりする努力が求められます。
また、提案書やメールの書き方を学び、効果的にアプローチすることも重要です。
食えないフリーライターから抜け出すステップ
フリーライターとして成功し、安定した収入を得るためには、以下のステップを踏むことが重要です。
⑴ 自分の強みを理解する
まず、自分の強みをしっかりと理解することが必要です。得意なジャンルや媒体、得意なライティングスタイルを見つけることで、自分の市場価値を高められます。
たとえば、
- 健康食品業界で記事LPの経験があるなら、「薬事法に配慮しつつ、高い成約率を出せるような記事LPの制作が得意です」と言えます
- 広告運用の経験があるなら、「広告運用ができるライターです」と言えます
- WEBディレクションの経験があるなら、「ディレクションができるライターです」と言えます
他のライターが見たときに「それはあなただから言える強みじゃん!ずるいよ!」と言われるような強みを見つけられると、仕事を獲得しやすくなります。
「まだ強みなんてない」という人は、低単価でも(なんなら無料でも)いいので、強みにできそうな仕事をしましょう。単価にこだわらなければ、いくらでも案件は転がっています。
⑵ 持続可能な案件を選ぶ
食えるフリーライターになるためには、短期間で高収入を得ることよりも、長期的に安定した収入を得ることが大切です。そのためには、持続可能な案件を選ぶ必要があります。
持続可能かどうかを判断するには、ライターの案件募集の要項をしっかりと確認しましょう。「長期的な発注を予定しています」「長期的なお付き合いをさせていただきたいです」といった文言が書いてあることがあります。
また、事前に確認可能であれば、クライアントの規模にも注目しましょう。企業の規模によっては、予算が割けなくなって案件自体がなくなる可能性もあるからです。
さらに交渉が可能なら、できるだけ長期の契約を結んでもらいましょう。契約期間は長いほど良いので、1ヶ月を提案されたら3ヶ月に、3ヶ月を提案されたら6ヶ月に伸ばせるか交渉することが大事です。
仮に契約が解消となった場合、契約期間が長い方が次の案件を見つけるまでの時間を稼げるからです。
筆者は過去に「1ヶ月の毎月更新」で提案されたものを、交渉で「3ヶ月ごとの更新」に変えてもらったことがあります。
⑶ クライアントに貢献しまくる
幼稚な言い方に聞こえるかもしれませんが、これが一番重要と言っても過言ではありません。与えられた仕事を完璧にこなすのはもちろんのこと、コツコツと信頼を積み重ねることがポイントです。
チャットの返信は早めにする、納期は必ず守り、遅れる場合は必ず事前に連絡・相談をするなど、些細なことのように感じますが、これができないフリーランスはたくさんいます。
クライアントにとってフリーライターはどこまでいってもただの外注です。いらなくなったらいつでも契約を解消できます。
だからこそ、「この人にお願いしたら間違いない」「この人は1言ったら10を理解してくれるから楽だ」と思ってもらう必要があるんです。
クライアントにとって欠かせない存在となることで、継続した依頼を受けることができ、安定した収入を得られます。
筆者の場合、たまに有料級の作業を無償でやることがあります。依頼された業務を完了させた上でさらに、です。そんなことをするフリーライターはほとんどいないので、それだけでライバル達と差別化できます。
⑷ リスクを分散させる
一つのクライアントや案件に依存するのはリスクが高いです。リスクを分散させるために、複数のクライアントと仕事をすることを心がけましょう。異なるジャンルや媒体での仕事を増やすことで、収入源を分散させ、収入が途絶えるリスクを軽減できます。
たとえば、筆者は一時期以下のようにリスクを分散させていました。
案件⑴:転職業界のWEBディレクター(SEO)
案件⑵:中古品業界のWEBライター兼WEBディレクター(SEO)
案件⑶:不動産業界のWEBライター(SEO)
案件⑷:健康食品業界のWEBライター(セールスライティング)
ジャンルは4つともバラバラで、ポジションも微妙に異なります。SEOだけだと心許ないので、セールスライティングの案件もやっていました。
このようにリスクを分散させることで、収入がいきなりゼロになるのを防げます。
まとめ
フリーライターが「食えない」と言われる理由と、それを克服する方法について、筆者の10年の経験を基に解説しました。
食えないフリーライターは、総じて低単価案件ばかり受けたり、実績や営業力が不足しているケースが多いです。食えるようになるためには自分の強みを理解し、持続可能な案件を選び、クライアントに貢献し、リスクを分散させることが重要です。少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。