「ChatGPTがブログをオワコンにしてしまうのではないか?」
巷ではこのような声をちらほら聞くようになりました。
そこで、こちらの記事ではChatGPTがブログをオワコンにすると言われる理由、またそうとも言い切れない理由について、12年目の現役Webライターが解説します。
ChatGPTがブログをオワコンにすると言われる理由
ChatGPTがブログをオワコンにすると言われる理由は大きく2つあります。
検索よりChatGPTの方が早いから
理由の1つは、検索をするよりChatGPTに聞いた方が早いからです。
現代の情報社会では、ネットを通じて情報を検索するのが一般的です。いわゆる「ググる」ですね。
しかし、検索エンジンの結果に表示されるブログ記事は、しばしば似たような情報が多く存在しています。
そのため、同じような情報を複数のブログで繰り返し読むことも珍しくありませんでした。
その点、ChatGPTはインターネット上の大量のデータを学習し、その知識を基に記事を高速で作成します。
つまり、検索してわかりやすいサイトを探す手間や時間をかけることなく、最速で疑問に答えてもらえるのです。
人類が「ググるより、ChatGPTに質問した方が早いよね?」となれば、ブログはオワコンになる可能性があるでしょう。
人間が書いた文章よりわかりやすいから
ChatGPTは高い言語処理能力があるので、読みやすくわかりやすい文章を書くのが得意です。
そのため、下手に人間が書いた文章より、ChatGPTが書いた文章の方がわかりやすいケースは珍しくありません。
そもそもChat GPTとは
ChatGPTは、歴代のインターネットサービスと比較して、記録的なスピードで膨大な数のユーザーを獲得しました。
現時点で「最近やたらと色んなところでChatGPTの話を聞くけど、正直まだよくわかってない」という人も少なくないでしょう。
そこで、こちらではそもそもChatGPTとは何なのか、ChatGPTには何ができるのかを解説します。
マイクロソフトが1.3兆円も投資するChat GPTとは
Chat GPTは、「OpenAIが開発した自然言語処理モデルの一つ」と言われています。
OpenAIは、人工知能の研究や開発を行うアメリカの企業です。
あのマイクロソフトがOpenAIに1.3兆円の巨額投資をしていることからも、どれだけ将来性の高いサービスかがわかるでしょう。
Chat GPTをわかりやすく言えば、膨大な量の情報を、恐ろしい精度で分析し、人間以上のスピードで提供してくれるサービスです。
Chat GPTにできること
「ライティング」に絞って考えると、Chat GPTにできることは大きく3つです。
1つは「文章生成」で、Chat GPTは与えられたテーマや質問に基づいて、高速で文章を自動生成できます。
ブログ記事やレポートの作成、キャッチコピーのようなクリエイティブな文章の作成をサポートするのもお手のものです。
2つ目は「編集支援」です。 Chat GPTは、文章の構造や表現方法に関する提案を行うことができます。
文体の統一や文法の修正、より効果的な表現方法の提案など、文章の編集作業を効率化してくれるのです。
そして、3つ目が「アイデアの提示」です。 ライティングにおいてアイデアのストックやインスピレーションを得ることは重要です。
その点Chat GPTは、質問に対して新たな視点やアイデアを提供してくれます。
ChatGPTがブログをオワコンにするとも言えない理由
確かに、Chat GPTがブログをオワコンにする可能性はあります。
しかし、現時点でその可能性はまだまだ低いというのが筆者の意見です。その理由を9つ紹介します。
平均的な回答しかできないから
ChatGPTは、大量のデータを学習して一般的な情報やパターンを獲得しています。
そのため、与えられた質問やテーマに対して、平均的な回答を提供することが得意です。
つまり、偏った意見や思想がないので、Chat GPTは可もなく不可もない答えしか提供できないとも言えます。
専門性や個別の経験がないから
ChatGPTは、一般的な情報を提供することが得意ですが、特定の専門知識や経験を持っていません。
検索サービスの王様であるグーグルが公式に発表しているサイトの評価基準である「E-E-A-T」を満たす記事は書けないわけです。
E-E-A-Tとは「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略です。
その点、人間が書くブログでは、人間特有の専門的な視点や個別の経験を共有できます。
つなり、情報の獲得をChatGPTだけに頼ると、読者は深い洞察や専門的な情報を得ることが難しくなるのです。
感情を乗せた文章を書けないから
ブログは情報を伝えるためだけのものではありません。情報を伝えつつ、読者との共感や感情的なつながりを築けるメリットもあります。
しかし、それができるのは個別の経験や感情を持った人間だからこそです。
ChatGPTは人間のような個別の経験や感情を持っていないので、それらを活かした文章は書けません。
そのため、記事に対して臨場感や共感を求めるような読者は、ChatGPTの記事より人間が書いたブログを選ぶ可能性が高いでしょう。
情報源は人間が書いた記事だから
忘れがちなのは、ChatGPTが書く文章の基になっているデータは、あくまで私たち人間が書いた記事だということです。
つまり、テキストコンテンツとしてインターネット上にアップロードされていない物事を記事にすることはできません。
ChatGPTが書く文章を書くにはあくまで情報源が必要なので、情報源と見なされるような質の高いコンテンツは今後も需要が残るでしょう。
特定の事柄・場所に関する質問に弱いから
少しChatGPTをいじったことがある人ならわかるかもしれませんが、ChatGPTは特定の事柄や場所に関する質問に弱いです。
たとえば、「渋谷で美味しいラーメン屋を教えて」と入力すると、全然違う場所のラーメン屋を紹介してくる上に、根拠となる情報も乏しいです。
ただし、この辺りの弱点はChatGPTがインプットする情報を増やせば解決するので、徐々に改善される可能性はあります。
インターネットにリアルタイム接続していないから
ChatGPTは、OpenAIが訓練時に使用したデータセットに含まれる情報を基に文章を生成します。つまり、インターネットにリアルタイム接続をして、最新情報を基に回答しているわけではないのです。
ちなみに2023年7月16日の時点では、ChatGPTは2021年9月までに公開されているインターネット上の情報を基に情報を提供しています。
一方で、人間が書く記事はインターネット上の最新情報を基に作成が可能です。
つまり、現時点ではまだChatGPTで最新情報を得ることはできません。
記事の信憑性がまだ低いから
有名な話ですが、ChatGPTは平気で嘘の情報を回答することがあります。
困ることは、嘘の情報にもかかわらず、本当かのようにまともな文章を書いてしまうことです。
記事の信憑性が低いので、人間が情報の裏付けや検証をしなければ、記事として第三者に公開することは難しいでしょう。
使いこなすには質問力が必要だから
巷では「ChatGPTの登場によってブログが必要なくなる」と懸念されていますが、少々気が早いと思っています。
なぜなら、従来のググる作業とChatGPTを活用した調べる作業とでは、ユーザーの負担度合いが大きく異なるからです。
ググる作業は「●● ▲▲」とキーワードの羅列だけでも、必要な答えを検索結果で表示してくれます。
一方で、ChatGPTは質問の仕方が下手だと、期待するような回答を得られないことが結構な頻度であります。
優れた質問力がなければ、ChatGPTを使いこなすことはまず難しいでしょう。
Googleが困るから
ChatGPTが人間の主要な情報提供源となると、他の情報検索プラットフォームや検索エンジンの需要は当然低下するでしょう。
特に、Googleの広告ビジネスは、ユーザーが検索結果ページを利用しなければ成立しません。
ブログ記事のように人間が作成したコンテンツが、質を巡って順位争いをしているからこそ、広告費を払って上位表示したい企業が現れるわけです。
果たしてGoogleが自らの首を絞めるような事業転換をするだろうかと考えると、あまり現実的ではありません。
仮に検索結果1位にChatGPTのようなAIの回答を表示したとしても、ブログ記事が完全に検索結果からなくなることはないでしょう。
かといって、これだけ検索作業に慣れた人々が、検索する作業を完全に止める可能性も低いです。
検索結果の1位の座を奪われることはあっても、人間の書いたブログ記事の需要がなくなることは考えにくいと言えます。
ChatGPTでブログ記事を作成したリアルな感想
良かった点
筆者がChatGPTでブログ記事を作成して、特に良かったと感じたのは下書きが一瞬で出来上がることです。
ゼロから文章を書いたり、書くために情報を調べたりする作業が一番時間がかかるので、それを短縮できるのはChatGPTの大きなメリットと言えます。
「●●文字くらいで書いて」「中学生でも理解できるように書き換えて」などの指示もできるので、まさに自由自在です。
ちなみにライターさんに外注する時は、たいていそのライターさん特有の悪い癖があります。
主語が抜けがちとか、自分の表現に酔い過ぎていたりとか、冗長的な表現が多かったりなど、そういったライティングの悪い癖がないので、校正作業が圧倒的に楽でした。
悪かった点
繰り返しになりますが、テーマによっては嘘の情報が入ることが最も悪い点です。
その情報が本当か嘘かを調べるのに労力がかかるので、「だったら最初から自分で書いた方が早い」となることもあります。
また、悪いとまでは言いませんが、記事の構成を作る能力はそこまで高くないと感じます。
SEOを意識して上位表示を狙って記事を書く場合、現在どのような記事が上位表示されているかをチェックする必要がありますが、ChatGPTにはその作業ができません。
リアルタイムでインターネットにつながっているわけではないため、最新の検索結果をチェックできないからです。
説明文や要約文、ノウハウなどを書くだけならChatGPTで十分ですが、SEOを意識した記事を書くにはまだ力不足かなという印象です。
ChatGPTのせいでブログがオワコン化しないための対策
ChatGPTのせいでブログがオワコン化する可能性はまだまだ低いと考えていますが、それでも可能性はゼロではありません。
「気づいたらChatGPTに自分の仕事を奪われて廃業に追い込まれた」なんてことがないように、こちらではオワコン化しないための対策を解説します。
専門性の確立
繰り返しになりますが、ChatGPTが伝えられる情報はあくまで平均的なもの、一般的なものです。
また、ChatGPTそのものが何かの専門家ではないので、情報の専門性には限界があります。
だからこそ、特定の分野の専門性が高いブログ記事は、ChatGPTのようなAIがどれほど普及しても需要が残り続けるでしょう。
たとえば、
- 法人営業の専門家
- 旅行の専門家
- 金融の専門家
- WEBライティングの専門家
みたいな感じです。
キャリアが長い人ほど語れる具体例やエピソードも豊富なので、ChatGPTには書けない記事が書けるでしょう。
そういった専門性を確立することが、オワコン化しないためには重要です。
オリジナリティの確保
ブログの魅力の1つは、ずばりオリジナリティです。
ChatGPTは大量のデータを学習し、それを基に記事を作成しますが、人間は自身の体験を基に記事を作成できます。
また、文章のテイストやキャラクターも、自分に合った形を選択可能です。
つまり、「同じ情報だとしても、あの人から情報を得たい。あの人の言葉を聞きたい」と言われるようなオリジナリティを確保することが重要です。
ファンを作る
オワコン化対策の3つ目は「ファンを作る」です。
ChatGPTは効率的な情報提供ができますが、読者との感情的なつながりや信頼関係を築くことはできません。しかし、私たち人間にはそれができます。
ブログがオワコン化しないためには、情報提供だけで終わらず、読者との関係構築を目指し、コミュニティを形成することが必要です。
つまり、SNSでやっていることをブログでもやりましょうというお話です。
まとめ
Chat GPTは確かにブログにとって驚異的な存在ですが、ブログが急にオワコン化することはありません。
ChatGPTの弱点を理解し、ChatGPTにできない部分を徹底的に磨くこと、そしてChatGPTの方が得意なことがあれば徹底的に活用すること、この2つが重要と考えます。
時代に取り残されないように、目をそらさず、上手にChatGPTと付き合っていきましょう。